まだ、慣れないなと思う。
何がって、家が巨大きのこの上に建っていることが。
最初に、沈む足元の所為で思いっきりバランス崩して顔面ダイブをかましたのも、まあ、今となっては笑い話でしかないけれど。
当時は、本当に、情けなかった。
扉を開けると、愛しい君がフワリと笑う。
「おかえり」
「ただいま」
何気ない会話のようだけれど、これもまだ、慣れないなと思う。
耳の先が熱い、自覚がある。
少し前までは、どうしようもなく胸を焦がす何かが何なのか分からなくて、どこかに定住するなんて考えてもいなかった。
夢にだけ見ていた相手とこうして挨拶を交わせる仲になったというのは、本当に幸せなことだ。