ツイッターログ(裏)

彼女は少し、興味深い人だ。
何せ私は、自分が変わり者だと言われているだろうと、自覚している。
そんな私を遠巻きにしないのならば、彼女もまた、変わり者なのだろう。
そもそも彼女は、自称常識人なのに、少し懐が広すぎる。
私の事は単に賢い人扱いだというのがまずもって珍しいのだと、おそらく認識できていない。
落ちこぼれ、変人、口先女、屁理屈屋……。
私を表すこれらの単語は、彼女の頭を素通りしていってしまうようなのだ。
苦労するタイプだねぇ、なんて言われた時の、私の衝撃を理解いただけるだろうか。
いっそ近付くな、と警告した時の、彼女の答えだ。
人の忠告も聞かずに私に纏わりつくのを止めず、理解できていないだろうに私の独り言に律儀に相槌を打つ彼女が変人ではないなど、私は認めない。
……少し、いつもとは違う話で熱くなりすぎた。
そう、彼女はそれほどに……二番目に興味深い対象なのだ。
それでも最初に「少し」と言ったことは、間違いではない。
私の頭を一番占領している内容は……周りが魔法と呼ぶ、この不可思議な現象だ。
何故、決まった時間に街燈が灯るのか、それが宙に浮いているのは何の力によるものなのか、どうして不思議に思ってはいけないのだろうか。
火を点ける時に点けた本人だけ熱くないのは何か仕掛けがあるのか、そもそも飲み水がどこから来ているのだとか、疑問は尽きない。
便利だから良いじゃないの、なんて、彼女は言う。
理屈が分からないものなんて、と何度目になるか分からない言い訳を口ごもれば、大抵の人が同じことを言うだろう。
けれど、私は怖いのだ。
とてつもなく、恐ろしいのだ。
誰も理屈の分からないモノを使っていたら、それが破綻した時に、誰がそれを元の状態に戻せるというのか。
取り越し苦労だとか、馬鹿馬鹿しいだとか、言われるだろうから。
この話までは、流石に誰にも言っていない。
ねぇ、ずっとずっと昔に何が起こったのかな。
遺跡から溢れ出る様々なモノは、便利だけれど。
どうしてそんな便利なモノが、遺跡からしか出ないのかな。
だから私は考えることが止められない。
どうして魔法と呼ばれるものが成り立っているのか。
どのような仕組みで詠唱が定められ、紋様が機能し、その力の源と呼ばれる魔力の正体は何なのか。
呆れ顔の彼女が、誰かを連れてきた。
私は、今から考え事で忙しくなるというのに。
けれど、それは実は……


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