私のマスターは、とても優しい人。
一見チャラチャラしてるようにも見えるけど、とっても優しい。

「瑠幽。」

瑠幽ーるゆうー、私の名前。プルリルの私の名前。
グルリと見渡して、辺りに私とマスター以外いない事を確認する。
人が居ないのを確認して、私は人の形をとった。

「マスター。」

私のマスターは、本当に素敵。
素肌にジャージを羽織ってるだけだから露出狂とも言われてる。
でも本当に素敵なの。私以外の女をその視線に入れて欲しくない。

急に擬人化した私にマスターは目を丸くした後、薄く笑った。
あぁ変わらない。私はマスターのあの優しい瞳に恋をしたの。

「最近怪力女達や二つ結びの女に会ってないけど、どうしたの?」
「んー?まぁ気分の整理だな。そろそろ会おうかと思ってるけどな。」


怪力女は、蒼の水城の王の主人。
酔狂ね、あの王の一族は皆独占欲が強いのに仲間にするだなんて。
それはともかくその女はマスターが一番気にかけてる人間。
身分不詳で皇帝になれなくなりそうな所を助けたんだから。

あの木の実馬鹿に怪力女はラピスの住民だから分からなくて当然だって。
その後こっそりと女に説明して、詰まった時はそう言えって。
……あぁ、マスター。私以外の女に優しくしないで。

二つ結びの女は、怪力女と似たような奴。
マスターがよくデートに誘う相手。
きっと、怪力女と似たような境遇だから世話を焼いてるのよね。
どうせあの女も異界から来たんでしょう。
ポケモンには何となく違うって分かる奴がいるんだから。

そう思わないとやっていけないわ。
聞くところによるとその女はマスター以外の人を好きだって言うし。
……でも所詮噂は噂。
それにそもそも、私はポケモン。
昔とは違い、今は人と結婚なんか出来ない。

「瑠幽、どうかしたか?」
「……何でもないわ、マスター。」

あぁ嫌ね、私は今上手く笑えたかしら。
心配そうにたずねてくるマスターに、大丈夫と言ったけれど。
本当は何でもなくないの。

私は嫉妬深くて、貴方が私以外の女に構ってると憎いの。
女を含め、貴方自身も憎んでしまう。まるで病んでるみたいに。

それに私は知っている。
マスターがもう、長くは無いことに。


あの怪力女は、マスターが崇拝する英雄で。
英雄が現れるとラピスの皇帝は永遠にそれに付き従う。
死を前提とされている英雄に永遠に付き従う。それはー……。
英雄と共に死ぬということ。



貴方は最後の死も、私にはくれないのね。
私はプルリルー……。
獲物を毒で痺れさせ、深海の住処まで運んでいくポケモン。

私の獲物は、マスター。貴方だったの。
隙があれば食い殺そうと思ったのよ。

でも駄目ね、私は貴方に恋をしてしまったから。
さし伸ばされたあの手の温かさ、瞳の柔らかさ。
優しい笑顔、憂いを込めた寂しそうな微笑。
全てを愛してしまった。

「さて、それじゃ仕事に行くか。行くぞ、瑠幽。」
「えぇ、マスター。……何処までも一緒、よ。」
「当たり前、お前は可愛い俺の仲間だからな。」

……そう、結局私は仲間から抜けられない。
酷い人だと思う、私の気持ちに気付いてるくせに。


油断している今なら、私は彼を深海に沈める事が出来る。
何でそれをしないかー……。そんなの分かってる。

彼に幸せになって欲しいから。

でも残酷ね、私が貴方を殺すことを諦めても世界は貴方を殺してしまう。
それならいっそと思ってしまうけど、出来ないのよマスター。





(貴方を殺してしまうぐらいなら、私は泡になって消えるのを選ぶ。)
(私の種族の誇りよりも、この世界よりも、貴方が幸せに生きてくれるならそれで)
(あぁ神様。どうか、どうか。彼の存在を奪わないで。)
(無茶な願いだってことわ分かってる、でも、それでもー……。)



*****

プルリルの図鑑説明みて滾って書いた。後悔はしてない。
瑠幽は髪が長くて本当に人魚姫のイメージ。
シャオが本当に好きで好きで、自分以外のモノになるなら殺してしまおうかと思うくらい。
それでも生きて欲しいから諦めて、でも決められた道は彼を生かさないで。

シャオはシャオでしっかりその想いに気付いてるけど、気付かないふり。
事実恋愛対象としてみていないし、これからも見るつもりはない。
だから下手な期待はさせないように勤めてる。

まさに一方通行な恋愛。
……まぁ、ポケモンが人間を愛したら基本はこんな感じだよね……。
というかシリアスラブなんて苦手分野に手を出してしまった!
次は明るい話が書きたいなぁ。そろそろマイソロに手を出すかも知れない←

リオンとジューダスとディセンダーでやらかしたい。
それはマイソロ3まで取っとくか……。
ツンデレクレッシャーの腕前を是非見たい。超期待。
イラストも描きたいなー……。



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