ジョウト地方じゃなくて、シンオウ地方に行くつもりだったんだけど。
ふぅと一つため息を吐いた後自販機でおいしい水を購入した。

今日はゼニスとの会合の予定だったんだけどなぁ。
まぁあいつも無類の方向音痴だし、会合場所には辿りついてないだろう。
そう結論づけ、ベンチに座り込む。

相変わらずジョウトのこの自然公園は和む。
金銀が発売された時感激したよなぁ。

そんな昔のことを思い出しつつ、視界に移った女の子に首をかしげた。
茶色の二つ結びの可愛い女の子。

「ミレイちゃん?」
「うにゅ?」

こんな広い世界で偶然で会うなんて、結構凄い確立だな。
そう思いつつもこっちに振り向いた彼女に手招きする。

「久しぶりー。最近シャオさんに絡まれてるんだっけ?」
「珠ちゃん!……うん、どうにかならへん?」

普通に喋るんはいいんやけど、毎回デートに誘われるんは……。
そう呟いたミレイちゃんに笑みが零れた。

まぁあの人は女を見たら下は10、上は……確か60までデートに誘う。
守備範囲バリ広だからなぁ。あたしだって一回の会話で何回も誘われるし。
それがシャオさんのスタイルだから、結構聞き流してるんだけどね。

「何回も誘われてるんだったら気に入られてる証じゃない?」
「うーん……。」
「シャオさんからチャラ男取ったら何も残んないしねー。」

某会議でフローラさんが言ってたあの台詞は今だ忘れられない。
シャオさんは本当に歩くセクハラだ。あの裸体は眼が痛い。
そんな事言ったら調子に乗るだけだから言わないけど。

「あ。そうや珠ちゃん。珠ちゃんはイッシュ地方に行くん?」
「イッシュ?あー……多分行くんじゃないかな?」
「今連れてるポケモン、連れて行かれへんで?」
「そこは権力の横暴で。絶対最愛のパートナーは連れてく。」

色んなポケモンに出会ったが、やっぱりアレを超えるポケモンは居ない。
ゲーム画面で一目見た時のあのトキメキと言ったら!
あのもふもふの襟巻きを枕にして寝たら、気持ちいいんだよなぁ。

「えぇなぁ、珠ちゃん。わたし今だに悩んでるんよー……。」

今まで育てたポケモン連れて行かれないのはなぁ。
俯き加減でそう言ったミレイちゃんが可愛くて、その頭を撫でた。

「絶対に交換しない、ってんなら大丈夫じゃない?」

実際最愛のパートナー……光夜だけは交換したことはない。
通信設備が整ってないなら最初から連れて行けばいいことだ。
まぁしかし、交換は出来なくなるっての覚悟しないと駄目だけど。

「何にでも攻略法ってのはある。それを利用しないとね。」
「珠ちゃんずる賢いなぁ。」
「おーだーまーりー」
「いひゃひゃひゃひゃ!」

いらんことを言ったミレイちゃんの両頬を摘む。
うーん、何言ってるか分からないなぁ。
というか抓られてる顔も可愛い。

摘んだ手をそのままに、涙目のミレイちゃんを見てると不意に肩に手が乗った。
ん?と思い手を話し影が出来てるほうを見ると

「俺の嫁にミレイちゃん!デートしね?」
「えーっ……と、遠慮させてもらいます。」
「書類全部処理して下さったなら考えます。」

この人も大概神出鬼没だよなぁ。
そんな事を思いながら、シャオさんはミレイちゃんに夢中だ。

ミレイちゃん、相当シャオさんに目つけられてるなぁ。……言い方おかしいか?
そんな事を思いつつ、喋ってる二人を見るとシャオさんがこっちを見てきた。
その目線で何を語ってきてるか。大体分かる。

大丈夫ですよ、ラピスについては何一つ喋ってませんて。
そう言った意味合いを含め笑みを返すと満足したようにまたミレイちゃんに構う。


喋るわけがない、この子は知らなくていい。
ラピスと関わるのなら世界の汚さだけじゃない。
英雄についても悟られてしまう。ラピスは英雄発祥の地だから。
……だから必要と感じない限り漏らさない。


この子にはきっと、この子ゆえの理由が存在する。
……そしてあたしにはあたしの、運命っていうレールがある。

まぁしかし英雄の伝承は至る所に転がっている。
いつそれに気づくか、若干恐ろしく思うけどまぁしかし。

「エンジュでシャレたカフェがあるんだけどさー」
「そういうお店は綺麗なお姉さんと行った方がいいですよ?」
「……ミレイちゃんつれないなー……。サビシー」

さて、これからどうなることだか。
隠し通せるかそれともバレるか。
それでも今は


二人の微笑ましい会話をニヤリと、悪役そのものの笑顔で見ておくとしよう。









(出会った理由は分からない。)
(これが必然か偶然かー……。)


(珠ちゃーん!今日やけにシャオさんしつこいんやけど!!)
(シャオさん、見苦しいですよ。)
(俺は愛の狩人だぜ?今日こそデートするって決めてんだ!!)
(ごめんミレイちゃん止めれないから全力で拒否するか逃げて。)
(ひどい!!)





**********あとがき**********

とりあえず、シャオさんはミレイちゃんを口説きまくればいいと。←
基本断れた事が無い為、躍起になってるとも取れる。
んでもって珠姫はそれを面白そうに見てればいいと。

一応計画じゃイッシュ地方の話しとチョビッと英雄を盛り込もうとして。
その結果がコレだよ!


ミレイちゃんの口調が……似非関西弁でごめんなさい;
そして事後報告すみませんでした!!



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