易(周易)で創作小説を占う
易(えき)は、約3000年の歴史を持つ中国最古の占術です。「易経」という古典を基に、陰(⚋)と陽(⚊)の組み合わせから成る64の「卦(か)」を用いて、現状と変化の流れを読み解きます。
易の特徴は「変化」を見ることにあります。「今どうすべきか」「動くべきか待つべきか」「この選択の先に何があるか」といった問いに対し、状況の本質と変化の方向性を示してくれます。創作においては、物語の展開に迷ったとき、執筆を進めるか休むか判断したいとき、キャラクターの決断を考えるときなどに力を発揮します。
わかること
- 現状の本質、今どういう状況にあるか
- 動くべきか待つべきかの判断
- この先の変化の方向性
- 問題に対する具体的なアドバイス
- 物語の展開における次の一手
- キャラクターの決断に対する示唆
必要なもの
- コイン3枚(最も手軽な方法)
- または筮竹(本格的だが複雑)
- またはWebの易占いサイト
- 易の解説書または解説サイト
基本の仕組み
陰と陽
易の基本は陰(⚋、切れた線)と陽(⚊、つながった線)の二つ。この組み合わせで世界のあらゆる状況を表現します。
八卦(はっけ)
陰陽を3つ重ねたものが「八卦」。8種類あり、それぞれ自然現象や性質を象徴します。
| 卦 | 名前 | 象徴 | 性質 |
|---|---|---|---|
| ☰ | 乾(けん) | 天 | 剛健、創造、父 |
| ☷ | 坤(こん) | 地 | 柔順、受容、母 |
| ☳ | 震(しん) | 雷 | 動く、奮起、長男 |
| ☵ | 坎(かん) | 水 | 険難、知恵、次男 |
| ☶ | 艮(ごん) | 山 | 止まる、静止、三男 |
| ☴ | 巽(そん) | 風 | 従う、浸透、長女 |
| ☲ | 離(り) | 火 | 明らか、美、次女 |
| ☱ | 兌(だ) | 沢 | 喜び、言葉、三女 |
六十四卦
八卦を2つ重ねたものが「六十四卦」。下の卦(内卦)と上の卦(外卦)の組み合わせで64種類の状況を表します。これが易占いの結果として出てきます。
コイン法のやり方
最も手軽な方法です。コイン3枚を6回振って卦を立てます。
-
問いを明確にする
「この作品を今公開すべきか」「執筆を続けるべきか休むべきか」など、具体的な問いを心に浮かべます。Yes/Noで答えられる形が望ましい。
-
コインを振る(6回)
3枚のコインを同時に振ります。表(陽)と裏(陰)の組み合わせで爻(こう)が決まります。
結果 爻 意味 表3枚 老陽(⚊→⚋) 陽だが変化する 表2枚・裏1枚 少陽(⚊) 陽で安定 表1枚・裏2枚 少陰(⚋) 陰で安定 裏3枚 老陰(⚋→⚊) 陰だが変化する -
卦を組み立てる
1回目の結果を一番下に、6回目を一番上に積み上げます。下から順に初爻〜上爻。
-
卦を読む
出た卦が何かを調べ、その意味を確認します。「変爻」(老陽・老陰)がある場合は「之卦」(変化後の卦)も見ます。
代表的な卦と創作での解釈
| 卦 | 名前 | キーワード | 創作での解釈 |
|---|---|---|---|
| ䷀ | 乾為天 | 創造、剛健、前進 | 力強く進め。今は行動のとき。主人公の決断の場面 |
| ䷁ | 坤為地 | 受容、柔順、従う | 無理に動かず受け入れよ。サポート役の時期 |
| ䷂ | 水雷屯 | 困難、産みの苦しみ | 始まりは苦しいが芽は出る。序盤の試練 |
| ䷃ | 山水蒙 | 未熟、学び、教育 | まだ学ぶ時期。師匠との出会い、成長の過程 |
| ䷄ | 水天需 | 待つ、時を待て | 焦らず待て。機が熟すまでの充電期間 |
| ䷅ | 天水訟 | 争い、訴訟 | 対立、衝突。争いは長引くと損。和解の道も |
| ䷊ | 地天泰 | 平和、安泰、調和 | すべてが調和する時期。幸せな場面、安定期 |
| ䷋ | 天地否 | 閉塞、行き詰まり | 停滞、コミュニケーション不全。打開が必要 |
| ䷌ | 天火同人 | 協力、同志 | 仲間との協力で成功。チーム結成、共闘 |
| ䷘ | 地雷復 | 回復、再起、戻る | 一度失ったものが戻る。再生、リスタート |
| ䷪ | 沢天夬 | 決断、決壊 | 決断のとき。溜まったものが一気に動く |
| ䷾ | 水火既済 | 完成、成就 | 一つの完成。ただし次の課題も見えてくる |
| ䷿ | 火水未済 | 未完成、途上 | まだ終わりではない。可能性は残っている |
64卦すべてに深い意味があります。詳細は易経の解説書やサイトで確認を。
創作での活用例
例1:展開に迷ったときに問う
「この場面、主人公は戦うべきか逃げるべきか」と問いを立てて易を引く。「水天需」(待て)が出たら、ここは一旦退いて機を待つ展開に。卦の示唆が物語を動かすヒントになる。
例2:執筆を続けるか休むか判断
書き進めるか、今日は休むか迷う。「山水蒙」(学びの時期)が出たら、無理に書くよりインプットに時間を使う日にする。「乾為天」(前進)なら一気に書き進める。
例3:キャラクターの決断を卦で決める
キャラが重要な選択を迫られる場面。キャラの立場で易を立て、出た卦をキャラの「運命」として採用。「天地否」(閉塞)なら、選んだ道は困難——でもそれがドラマになる。
例4:物語全体のテーマを卦で表現
作品の完成日や構想日に易を立て、出た卦を作品の「象徴」とする。「水雷屯」(産みの苦しみ)なら、困難から始まり成長する物語、というテーマの補強に。
例5:公開タイミングを相談
「今この作品を公開すべきか」と問う。「地天泰」(安泰)なら良いタイミング、「天地否」(閉塞)なら時期を見直す、「水天需」(待て)ならもう少し待つ、など。
Webで引ける易
- Facade.com - I Ching - 英語だがシンプル
LLMと一緒に使う
出た卦の解釈を深めたいとき、LLMに相談できます。
プロンプト例
易占いで「水天需」(待つ)が出ました。問いは「今書いている長編小説を、予定通り来月公開すべきか」です。この卦の意味を、創作活動における判断材料として解釈してください。また、「之卦」として「水地比」が出ています。
プロンプト例(物語への応用)
ファンタジー小説の主人公が、敵の本拠地に乗り込むかどうか迷っています。キャラクターの視点で易を立てたところ「天火同人」(協力・同志)が出ました。この卦を踏まえて、物語の展開としてどんな選択肢が考えられますか?
Tips
- 問いは具体的に。「どうなりますか」より「〇〇すべきですか」の方が読みやすい
- 同じ問いで何度も引き直さない。最初の卦を信じる(易経にも「再三すれば涜る」とある)
- 凶卦でも「こうすれば避けられる」という助言として読める
- 変爻(老陽・老陰)がある場合は、之卦も含めて「変化の方向」を読む
- 易は「当てる」より「状況を整理する」ツール。結果を踏まえて自分で決める
- 64卦の意味を全部覚える必要はない。その都度調べればOK
- 創作では「キャラの運命」として卦を使うと、物語に深みと偶然性が生まれる