お祭りと異世界人。

カチ、カチと今日のバトルで選んだ子達をベルトに嵌める。
服はいつも通り、違うのはバトル形式と観客の数。
最近めっきりバトルとかしてないからなぁ、ヘマしないように気をつけないと。

「というか何で俺が審判?」
「俺と珠姫のバトルだと普通の審判だと危険な気がしたので。」

控え室の後ろの壁に凭れ掛ったまま、シャオさんが言う。
本当は別の人を考えてたんだけど、丁度今日シャオさん居るから任せてもいいんじゃないかって。
そういう感じで急遽抜擢。
シャインがそう説明すると、シャオさんは小さく溜息を吐いた。

「大体今日俺4体しか居ないっつーの。」
「十分じゃないですか。」
「そりゃ、まーな。」

ゆっくりと壁から離れて、何故かあたしの隣に座られた。

「でも俺、俺の嫁にいい判決しちまうかも。」
「「まじめに審判してください。」」
「冗談だっつーの、」
「冗談に聴こえないんですけど。」

まったく、ほんと女好きなんだから。
小さく息を吐いて、光夜が入ってるボールを撫でる。
最近戦わせてなかった、というか擬人化させて災害対応の公務させてたからなぁ。
久々のバトル、楽しんでもらいたい。

セッティングされた会場も、シャインとあたしが全力で戦って耐えれるであろう強度になってる。
それでもヤバイと感じたら、シャオさんが間に入ってバトル止める手筈だ。
まぁそんな白けるバトル、しないから加減はするけど。
それはシャーンも同じだろうなぁ。

「というか俺の嫁!このバトル終わったらナイトパレードだろ?デートしねぇ?」
「公務あるんで。」
「……。ほーんと、連れねぇ……。」

シャオさんが何かちいさく呟いて、シャーンが呆れたように溜息を吐いた。
それに疑問を感じたけど、大きい音を出しながらドアが開かれた。


「珠姫様、シャイン様、シャオ様。そろそろお時間です。」

あの、もう少し、……静かに開けようよ怖いっつーの。
無駄にビビッたぁ。

ちいさく伸びてから席を立つ、隣に座ってたシャオさんも立ったし、
こんな時にまで書類整理してたシャーンもそれを元の場所に保管して立つ。
さぁ行こうかと思った時、雪弥から静止が来た。

「くれぐれも傷を作らないように、いいですね。」
「……はい。」
「シャイン様も、くれぐれも、倒れないように。それは当然お分かりですか?」
「雪弥さん……、それは誰よりも俺が分かっています……。」
「シャオ様も、くれぐれも、他の女に目移りせず、公務を全うしていただくように。」
「……何で俺まで怒られるんだ……。」

「テメェ等、分かってるって言ったんだからやったらどうなるか分かってるよな。」
「「「肝に命じます。」」」


あぁ、そういえば唯一この祭りの開催時期について雪弥、反対したもんなぁ。
あたしも相当無理したし、シャインなんて雪弥さんの目の前で倒れたし。
その後雷落ちてすっごい弱弱しい声で『お前の主治医マジ怖い』って言ったくらいだ。

シャオさんに釘刺したのは恐らくミレイちゃんの一件だろう。
闇医者だった時も、あたしの主治医として医療班長勤めている時も、
こいつは何よりも患者を中心として動いてるから。

「そういえばミレイちゃんはどうするの?」
「点滴をつけたまま、私が側に控えております。
体調を診ながらVIP席を使用させて頂こうと考えています。」
「あー……本来は来るはずだった上の人間の席か。」
「来ないのですから問題ありませんね?」
「えぇ、使えるものは使ってください。」

そういえば、シャイン雪弥にも敬語使ってるんだなぁ。
まぁあれだけ倒れて怒られて面倒みられてたら当然か。

それにしても来るとか言っといて来ないとかどうなってんだが。
いい加減な言動に腸が煮えたぎりそう、それはシャインも同じだろうけど。
まぁ来ないなら来ないで、それの接待とかしないでいいから楽だけど。

「ではお時間です、無茶はなさらぬように。」
「了解、ミレイちゃんお願いね。」
「仰せのとおり、お任せを。」


さぁて、それじゃぁ行きますか。
そういう意味を持たせて、コツンとシャインと拳を合わせる。
楽しいバトルの始まりだ!


執筆日:2011/07/05



Next
Prev
Back to Top
Background image from Studio Blue Moon